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写真と珈琲

カメラについて

カメラについて書こうと思う。
初めてカメラを持ったのは「写ルンです」だろう。
高校生の時に、36枚撮りの使い捨てカメラだった。
ダイヤルを回してシャッターを押す。
とにかく楽しかった。授業の最中。体育の時間、校内の行事。
毎日1枚撮って休みの日は2枚撮る。
月末にフィルムをコンビニに出して次の月初にアルバムに保管するのが日課だった。
ただそれだけ。
高校を卒業して大学に行った。アルバイトに精を出しすぎて結局中退したけど。
アルバイトで買ったカメラは中古のRICOH GR10だった。
デジカメがまだ高価だし、PCも持っていなかった。当時は携帯電話も折りたたみ式。iモードたるサービスが始まった頃だった。
田舎育ちの自分には、夜の繁華街が奇抜だったのを覚えている。
大学は北海道札幌市の某Fラン。
授業よりもススキノだった。
アルバイトを朝方までこなして酔っ払いを写真にして帰宅する。
起きるのは夕方。そんな生活をしていたら学校なんて通わなくなるのは目に見えていて、当時はそれはそれとして何とかなるように思えた。

大学を辞めてとにかくアルバイトだった。
昼間はコンビニ、夜はPUBのカウンターと、写真を撮る暇もなかった。
俗にいうフリーター生活を5年程続けた頃、そういえば北海道の自然は見ていないと気付いて帯広へレンタカーで向かった。
GR10と大量のフィルムを持って。
景色って良いもんだと思ってもシャッターを切れない自分がいた。
何だろう
「これじゃない」感じ。

フリーター生活は今の自分にとっては良い経験だった。
色んな出会いもあったし、色んな恋と愛の形を覚えた。
その時々に写真があればなと今は後悔もある。
その数年間はシャッターを切っていなかった。

26歳頃だったろうか、
家電量販店に寄った。
何気なく通ったカメラコーナーに奴はいた。
RICOH GR Digital」だった。
GR10もそうだったが、28mmの単焦点。黒で無骨でコンパクト。
「これで何とかなる。」
根拠はなかった。何の考えもないまま。
なけなしの貯金を崩してかった。
それからは、毎晩毎晩ポケットに忍ばせ街行く人にシャッターを切った。
見知らぬすれ違いの空間があっという間に思い出になった。
常にポケットにはGRだった。
そしてGR10との撮り比べそんな毎日。

28になって田舎に帰った。
やることもなく、仕事もとりあえずの工場派遣。
休憩室で相棒を取り出しそっとシャッターを押す。
たまに東京へ行って街行く人を撮る。
そんな日々。
あるギャラリーを見つけるまでは自分と同じことをしている人の存在なんて頭になかった。写真家にも興味はなかったし、写真は自分の分身としか理解していなかった。
森山大道」の写真を見るまでは。

その衝撃は今でも覚えている。
The CLASHのLONDON CALLINGのジャケットのようにギターを床に叩きつけるような衝撃が襲ったのを覚えている。

そこからあのは「新宿」「渋谷」に行くのは何の苦ではなかった。
毎日朝から日が暮れるまで撮った。ブレ・ボケ、露出そんなの関係ない。
F4絞り優先AUTO、最低限の設定。それで十分だった。
そして、派遣先で給料の良いところを見つけては色々な地方を転々として、現在はここ富士山麓に根を下ろした。

仕事も不満は無い。土日はカメラを持って街に出る。
そんな日常を過ごしている。
カメラもRICOHからFUJIFILM X100Fになり、相変わらず人を撮っている。
長期連休は1人で色々な場所へ旅にでる。
相棒と一緒に。年に一度は妻を連れ立って、旅行に行く。
コロナ禍の世界は想像していなかったけど、今も撮りに出かける。
マスクの下の笑顔を探して。
街行く人に感謝を込めて。空気のように写真を撮る。
STREET PHOTOは時には残酷だけど、いたずらに人を撮ることはしない。
そこに魂を込めている。
被写体に愛を込めて。

少し雑だけど、そろそろ終わりにしたい。
写真は、近いうちに公開したい。

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